Case Study

事例紹介

宝飾小売業における事業再生

プロジェクト概要

同族経営の宝飾業界中堅小売業のD社は、バブル時に国内のみならず海外にも出店し業績を急拡大させた。しかしながらバブル崩壊後に多くの店舗が不採算化、さらに先代社長時代に抱えた多額の負債の存在に加え、経理部門の不適切会計などが原因で通常であれば倒産を免れない状況であった。その状況から、当面の資金繰り対応を初め、事業の立て直しを支援し、さらには巨額の債務超過を親族が持つ不動産会社と合併することで解消させるなど、事業面、財務面を含めた抜本的なテコ入れを行い、自助努力による事業再生を果たした。

お客様の課題
  • バブル期の過大投資と多額の債務
  • バブル崩壊後の売上減による業績悪化
  • 内部管理体制の不備と不適切な会計処理
  • 多額の実態債務超過
取組内容
  • 資金繰りの対応支援
  • 詳細な現状把握と抜本的なリストラクチャリング支援
  • 親族保有の不動産会社合併による実態債務超過の解消
  • 金融機関取引の正常化支援

プロジェクトのポイント

資金繰りの対応支援

資金繰りの状況がひっ迫していたため、金融機関との調整を行い、再生計画立案の間、返済条件を緩和し一時的に返済を停止することへの同意を獲得し、資金繰りの対応を行った。

詳細な現状把握と抜本的なリストラクチャリング支援

既存店売上高の減少傾向が続くなか、店舗での多額の不正や内部管理体制の不備により不適切な会計処理がなされており、調査の結果、多額の実態債務超過の状態にあることが判明。ただちに業績を回復させるために、不採算店舗を複数閉店するとともに、大幅なリストラクチャリングを実施した。また、従業員不正の実態調査を実施、再発防止策を講じるとともに、経理総務部門において正しい会計処理ができる体制を構築した。業務フローの見直しの結果、半数以下の従業員数で業務を実施できるようになった。

親族保有の不動産会社合併による実態債務超過の解消

先代社長の親族が分割所有する不動産会社があり、現社長と共に根気強く折衝することで合併の承認を獲得。当該不動産は含み益の高い不動産であったため、この合併により実態債務超過の解消を図ることができた。加えて、現社長に株式を集約するよう交渉を重ね、親族から大きな協力を獲得し、事業承継問題も解決することに成功した。

金融機関取引の正常化支援

問題が発覚した際に、準メインの金融機関がバルクセールで債権を外資金融機関のサービサー子会社に売却するという事態が発生。この状態では取引先に不安を与えてしまいかねない状況であったが、 実態債務超過の解消と収益力の回復を達成できたことで、メインバンクと協議し新たなシンジケート・ローンを組成することに成功。当該債務を返済できたことで、金融機関取引の正常化を達成できた。

成功要因

コミットメントと真摯な取り組み

先祖代々長年営んできた家業をここで終わらせずに何とか存続させたい、従業員や取引先の生活を守りたいという経営者の強い想いがあったため、長年営んできた家業の価値と経営者の想いを心から共有し、困難な局面も多かったが最後までコミットし、クライアントとともに真摯に取り組んだこと。

経営幹部陣の団結力

直面している問題に対して経営幹部陣が反省し、再建案一つ一つについて共有し、一体となって早期に取り組んでいったこと。

同意獲得への強い交渉力

企業存続の大きなポイントであった先代社長の親族所有の不動産会社を合併するために、現社長と共に関係者への交渉を根気強く実施することで親族からの同意を獲得できたこと。


プロジェクト成果

倒産寸前だった会社を事業再生のための支援から1年後には黒字化を達成、2年後には実態債務超過の解消と金融機関取引の正常化を達成した。現在も順調に事業を継続しており、先祖代々の家業の歴史を存続させている。なお、本事例は当時関係した銀行の事業再生のモデルケースにもなった案件である。

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