Case Study
事例紹介
食料・日用品小売業における
事業再生
プロジェクト概要
食料品・日用品の中堅小売業のA社は競合との競争が激化する中で、収益性が低下し経営状況が悪化。事業を立て直すためには社内だけの自助努力では足りず、資金面を含めた抜本的なテコ入れが必要であった。そのため、スポンサーとなる企業を募集し、不採算事業や店舗の撤廃とともに、本格的な事業再生のためのM&Aを実施した。
お客様の課題
- 本業の収益性の低下
- 複数の不採算店舗の撤退の遅れ
- 赤字資金の流出が止められず、足元の資金繰りも不安
取組内容
- 資金繰り不安の解消
- グループ会社含む詳細な現状把握と財務分析
- 事業再生のためのスキーム作り
- スポンサー企業(買い手)の募集と各種手続き・調整
プロジェクトのポイント
資金繰り不安の解消
A社は既存店売上高の減少傾向が続き、資金繰りにも不安のある状況の中、資金の流出が止まらず、早期にスポンサー支援を取り付ける必要があったが相談を受けた早期の段階で、借入金の返済をストップさせることで当面の資金繰り不安を解消することができた。
グループ会社含む詳細な現状把握と財務分析
グループ会社間取引、グループ会社間資金融通取引が頻繁に行われている中、適切な会計処理がされておらず、個社レベル、グループ全体の資金繰り実績の把握と資金繰り見通しを立てることが困難であった。また、店舗毎の取引形態別(卸売、小売、賃貸)損益情報を把握するための情報が整理されていなかったため、店舗別の実態損益の把握が困難であった。
事業再生スキーム作りとスポンサー企業の募集
窮境に陥ったA社の状況に応じた適切な事業再生スキームを選定し、スポンサー候補者の判断材料足りうる、財務調査報告書、再生計画案を短期間に作成しなければならなかった。
成功要因
お客様と深く関わり、臨機応変に対応
経験豊富な少数精鋭チームを編成し、A社内部に深く入り込み、必要な情報を吸い上げ、整理・精緻化し、刻々と変わる局面に臨機応変に対応した。
ワンストップでのM&A業務提供
一つのファーム内でM&Aのアドバイザリー業務(スポンサー探索)と財務調査、再生計画策定業務といったトランザクション業務をワンストップかつ同時並行的に進めた。
弁護士事務所との連携
企業再生を専門とする弁護士事務所との緊密な連携により金融機関調整をスムーズに実行。
プロジェクト成果
スポンサーへ早期に事業計画を提示できたことで事業を承継するスポンサー選定がスムーズに進み、DIP(※1)融資を受けることで資金繰りも安定し、無事ADR(※2)による再生計画案が成立した。こうして、スポンサーへの事業移管は無事完了し、A社の事業は継続し、雇用も維持されることとなった。
※1DIP:Debtor in Possessionの略。民事再生法などの倒産手続き開始後も旧経営陣に経営を任せつつ、新たな資金を提供する金融手法。
※2ADR:Alternative Dispute Resolutionの略。裁判によらない紛争解決方法。