Case Study
事例紹介
空港サービス及び
運送業におけるM&A
プロジェクト概要
A社は空港関連サービス事業では中堅であったが、後継者問題や今後の空港事業の民営化に伴う業界再編、また、過去の過大な設備投資による本業の事業悪化により、本業の事業パートナーと優良グループ子会社の売却先を模索していた。A社と営業エリアが異なる関連事業者と組むことで大きな事業シナジーが見込まれたため、吸収分割方式によりA社の空港関連サービス事業を承継した新A社を設立。その株式を買い手企業B社へ100%譲渡し、B社の傘下となって再スタートをきった。それに先立ち、A社の子会社3社(人材派遣、コンビニエンス・ベーカリー、保育園)を、それぞれ事業シナジーが見込める各業界の買い手先へ100%株式譲渡を行うことで、A社の財務改善の一助となった。
お客様の課題
- 本業の収益性の低下
- 過大な不動産投資、関係会社への資金流出による財務面の課題
- グループ会社の不採算事業
取組内容
- グループ会社含む詳細な現状把握と財務分析
- 事業再構築のための施策作り
- スポンサー企業(買い手)の募集と各種手続き・調整
- ディールの実行
プロジェクトのポイント
詳細な現状把握と財務分析に基づくストーリーの組み立て
A社の空港関連サービスは、航空会社からの業務委託で成り立っていたため、各航空会社の事業戦略をはじめ、発着便の推移や人材と機材の充当状況など詳細な現状を調査した上で、A社の強み・弱みを正確に理解し、利益の見通しを立てた。具体的には、事業で生み出した利益と財務リストラクチャリングの組み合わせによる財務体質の良化、資金繰りの安定化までのストーリーを構築した。
事業シナジーが見込める買い手探しと経営計画
事業再生ADR(※1)手続きに基づきM&Aに係る金融機関との調整を行う中、A社の債権カットを行わないことが金融機関の要望であり、そのためには、事業シナジーが十分見込める買い手企業が必要であった。買い手企業との交渉においては合理的な譲渡後の経営計画を示すことで、買い手候補複数社すべてが事業シナジーを十分に見込めると判断するに至った。
※1 ADR:Alternative Dispute Resolutionの略。裁判によらない紛争解決方法。
成功要因
先手先手のアクションにより信頼の獲得
ステイクホルダーである金融機関、空港関連の会社及び航空会社をはじめとした取引先、社員、買い手候補企業に対して、先手先手で現在の状況や今後の方針の説明を実施。その結果、ステイクホルダーの信頼を勝ち取ることができ、交渉フェーズへスムーズに移行できたことが大きな成功要因であった。
プロジェクト成果
B社は、既存事業に加え、旧A社の成田空港での事業を手中にしたことで、他の大規模空港での事業と合わせて、事業の効率化及び顧客拡大を図ることができ、収益力をさらに強化することができた。